財産債務調書と国外財産調書2023.03.22
財産債務調書と国外財産調書
●財産を持っていたら知らせなさい
ある一定額を超えた財産を持っている場合、調書にその内容をまとめて税務署に提出しなければならない制度があります。それが「財産債務調書制度」と「国外財産調書制度」です。
財産債務調書制度は①その年の退職所得を除く所得金額の合計額が2,000 万円超、かつ②その年の12 月31 日において合計3 億円以上の財産か、1 億円以上の国外転出特例対象資産を持っている方が対象で、財産債務調書の提出が必要です。令和5 年以降は上記条件の他に「10 億円以上の財産を持っている」場合も対象になります。
国外財産調書制度はその年の12 月31 日において、5,000 万円を超える国外財産を有する非永住者以外の居住者が対象です。
●どちらもアメとムチを用意しています
調書に記載がある財産に関して、所得税等・相続税の申告漏れが生じた場合、その財産に課される過少申告加算税や無申告加算税が5 パーセント軽減されます。
逆に、調書の提出がない場合、または提出された調書に記載すべきものを記載しなかった場合、その財産に課される過少申告加算税や無申告加算税は5 パーセント加重されます。
また、国外財産調書については、偽りの記載をして提出した場合や、提出をしなかった場合には、1 年以下の懲役または50 万円以下の罰金に処されることがあります。ただ、意図的な虚偽記載や不提出ではなく、うっかり提出していなかった、といった事情であれば、その刑を免除することができるとされています。
●どのくらい軽減・加重措置を受けている?
国税庁が発表している資料によると、令和3 年分国外財産調書の提出件数は12,109 件で、令和3 事務年度におけ る過少申告加算税及び無申告加算税の特例措置は
軽減措置:135 件 41 億9,893 万円
加重措置:293 件 439 億2,378 万円
だったということです。
また、少し古い記事ですが2019 年には国外財産調書不提出で国税局が告発しているのをニュースサイトで確認できます。