令和5年度税制改正大綱 個人所得課税編2023.02.07
令和5年度税制改正大綱
個人所得課税編
個人所得課税では、「資産所得倍増プラン」をもとに、NISA 制度やスタートアップ支援制度を中心に見直しが行われます。
●NISA は投資枠の拡充と制度を恒久化
新たなNISA 制度では、投資枠が「つみたて投資枠」として、年120 万円(これまで年40 万円)、「成長投資枠」として年240 万円(これまで年120 万円)、併用を可能にして、合計で年360 万円、累計1,800 万円(うち成長投資枠の累計は1,200 万円)まで大幅に拡充されます。非課税となる保有期間は、無期限とし、制度の恒久化が図られます。令和6 年1 月から適用されます。
摘要 | つみたて投資枠 | 成長投資枠 |
投資上限額 | 年120 万円 (従前は年40 万円) |
年240 万円 (従前は年120 万円) |
非課税期間 | 無期限 (従前は最長20 年) |
無期限 (従前は最長5 年) |
●スタートアップへの再投資に非課税措置
スタートアップへの資金供給を強化するため、保有株式の譲渡益を元手にして、創業者が創業した場合やエンジェル投資家がプレシード・シード期のスタートアップに再投資を行った場合、20 億円を上限に株式譲渡益に課税しない制度が創設されます。
また、ストックオプション税制の権利行使期間の上限を15 年(現行10 年)に延長し、スタートアップの事業を後押しします。
●高所得者の税負担を適正化
税負担の公平化の観点から、極めて高い水準の所得者に対して、基準所得金額から3.3 億円を控除した金額に22.5%の税率を乗じた金額が、基準所得税額を超過する場合には、その超過した差額について追加的に申告納税を求めます。令和7 年分以降の所得税から適用されます。
●相続空き家の特例は適用要件を改正
相続空き家の特例は、建物譲渡の翌年2 月15 日までに耐震基準に適合させるか、取壊し等を行えば適用できるようになります。また、建物、敷地の相続人が3 人以上の場合、特別控除額は2,000 万円とされます。令和6 年1 月1日からの譲渡に適用されます。
●特定非常災害損失の繰越控除期間を5年に
特定非常災害により生じた損失について、雑損失や純損失の繰越期間を例外的に5 年(現行3 年)に延長します。