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事業が好調でまだまだ株価が上がりそうです。 何か他に対策はありませんか?
会社の業績は好調に推移していて展望も明るい!
もちろんそのような状況は実に喜ばしいことです。
しかし会社の業績が上昇している事が原因で、せっかく事業承継を見据え、利益圧縮や資産
整理など、様々な手法を使って株価引き下げ策を講じても、株価の引き下げ効果がなかなか
見えません。
そんなときは思い切って会社の高収益事業を切り離してしまう方法もあります。
具体的な方法として、子会社に一部の事業部門を移管することにより分離します。
事業部門だけでなく土地などの固定資産を譲渡すれば効果はあります。
しかしながら固定資産を譲渡すれば、既存会社に対し法人税等の負担の可能性がある事や、
新しく設立された子会社は多額の購入資金が必要となります。
それを考えると移管するのは製造や営業部門のみで固定資産は賃貸にする事を検討する必要
があります。
賃貸により新たに既存会社に賃貸収入が発生します。その代わりに今まで発生していた収益
が無くなる事によりトータルでの利益圧縮ができます。
ここで注意が必要なのは、部門を切り離して別会社を作った結果、会社規模が小さくなる事
で、会社の資産構成が変わり保有している株式や土地の割合が大きくなってしまい、評価方
式が「純資産価額方式」に変わってしまう事です。
つまり大規模な会社であったため「類似業種比準価額」による低い評価が使えていたのに、
「純資産価額方式」による高い評価額に変わってしまう可能性があるという事です。
こういった事を避ける為に事業部門を切り離す前に収益だけでなく、資産構成も確認してお
く必要があります。 -
子供も従業員も会社を継いでくれそうにありません。何か他に方法はありませんか?
事業承継は3パターンに大別されます。
①親族、幹部社員への承継
②解散・精算
③M&A(=会社の売却)
親族や幹部社員に承継できない場合に、解散・清算してしまえば会社はなくなってしまいま
す。そこで働く従業員の雇用の問題にも繋がります。
他の方法は?といえば、M&A(=会社の売却)でしょう。
M&Aといえば、少し前までは「会社を乗っ取られる」など暗いイメージがありました。
ここ数年は一変して中小企業においてもM&Aが多用されるようになりました。
どのような理由でM&Aを選択するのでしょうか。
①先行き不安で子供などに継がす事が心配
②M&Aを仲介する会社が上場もし、仲介市場が成長してきた
③売り手も会社を売却して、そのお金でハッピーリタイア等の生活を
する感覚を持つようになってきた
具体的にどのように行うのかと言えば「株式売却」です。
単純に株式の売買だけで完了させます。手続きとしても非常に簡単です。
ただし「いくらで売るか」、つまり価額については難しいです。
税務上の評価があることは前提ですが、無形資産をどう評価するのか、営業権はあるのか
ないのか、隠れ借金はないのか・・・
「売り手は少しでも高く、買い手は少しでも安く」の心理が働きます。
M&Aの際にはいい条件で買い取ってもらえるように、自社を見つめ直し外部から見て買い
たいと思わせる会社になるように整理できる事は早めに整理しておきましょう。 -
長男に相続させる遺言書を作成したいと思っています。遺言書の作成にあたり、どのようなことに注意すればよいでしょうか。
よく作成される遺言は自筆証書遺言、公正証書遺言の2種類です。
それぞれにメリット、デメリットがありますが、遺言は方式が厳格に定められており、それ
に違反すると無効となることを考えると、公証人が作成に関与し違反の可能性がない公正証書
遺言を作成するのが望ましいといえます。
次に遺留分とは、遺産の一定割合の取得を相続人に保証するために、民法に定められた最低
限の相続人の権利です。兄弟姉妹以外の相続人に認められています。
遺留分は法定相続分の2分の1になります。
例えば、長男、長女、二男の3人が相続の場合、法定相続分は1/3ずつで、遺留分は1/6
(3分の1×2分の1)となります。
相続財産には遺言で相続人に分け与えた財産や生前に贈与された一定の財産も含まれます。
このため、株式をすべて後継者に相続させると他の相続人の遺留分を侵害してしまい、後に
遺留分減殺請求により、株式が分散するリスクがあります。
したがって、後継者以外の相続人の遺留分を侵害しないよう遺言書の内容を検討する必要が
あります。
【自筆証書遺言】
全文の自署、日付・氏名の自署、押印が必要です。
最も手軽に作成できますが偽造・変造や紛失、方式不備により無効となるリスクがあります。
また、遺言者の死亡後に家庭裁判所で遺言書の検認手続きを行う必要があります。
【公正証書遺言】
公証人に遺言したい内容を伝え、遺言書を作成してもらいます。
証人2人以上の立会いが必要であり、所定の費用が必要ですが、偽造や紛失のリスクがなく、
方式不備となることもありません。検認手続きは不要です。 -
息子に株を全部渡したいけど全てを任せるのは不安です。 何かいい方法はありませんか?
「自社株の評価も今なら低いし、今のうちに息子へすべて移してしまおう。でも本当に息子
に経営ができるかが心配で・・・。」
利益の圧縮や資産の整理などにより自社株の評価を抑える事が出来たとします。
このタイミングが自社株の移動の絶好の機会となります。
しかし先代社長の心配はやはり後継者に会社経営の舵取りができるかにあります。
このような場合には種類株の1つ「黄金株」を検討してみてはいかがでしょうか?
「黄金株」とは会社の重要な決定事項に対しては拒否権を発動する事ができる株です。
この「黄金株」は議決権割合とは関係なしにその「黄金株」を1株所有しているだけでこの
拒否権を発動できます。
つまり所有している自社株の大半を後継者に移して、自分は少数の黄金株を所有する事で
株の移動の問題をクリアするとともに、会社経営の重要な決定事項については先代経営者
の影響力を残す事ができるのです。
黄金株の相続税評価の算出方法は通常の株式と同じです。
拒否できる事項は定款によって定める事になります。
会社の解散、合併等の重要な事項については、黄金株を持っている株主の承認が無ければ
できない、といった事を定める事で会社経営について参画できる権利を明記する事になり
ます。
後継者が立派に一人立ちした時点で自身は会社経営から完全に退きます。
会社経営のバトンタッチができる時期まで先代の立場として会社経営を支える事を目的に
黄金株を所有する事ができます。
ここで注意点は、黄金株は大きな影響力があるので先代の死亡後に会社経営には関係のな
い人に渡らないようにする事です。 -
持っている議決権の割合でどのような事を行使できますか?
議決権の保有割合によって株主の力関係は変わります。
保有割合による権利について主なものを挙げてみます。
①議決権の全てを保有
全てを自分の意志で決定することが可能です。
②議決権の2/3以上を保有
合併・会社分割・株式交換・株式移転の組織再編、定款の変更、監査役の解任、
といった会社にとって重要な特別決議が可能です。
中小企業オーナーの場合は、できる限りこの2/3以上を保有すべきでしょう。
③議決権の1/2超を保有
過半数を持っていることで大きな力を持ちます。
取締役・監査・会計監査人の選任決議、取締役・会計監査人の解任権、取締役・
監査役の報酬額の決議、配当などの剰余金の分配といった普通決議が可能です。
④議決権の1/3以上を保有
上記②の裏返しになりますが、1/3以上を保有すれば特別決議を単独で阻止する
事が可能です。1/3以上保有する株主についてはオーナーは会社運営にあたり相
当意識する必要があるでしょう。
⑤議決権の1/10以上を保有
会社の解散請求ができます。
⑥議決権の3%以上を保有
株主総会の召集、帳簿の閲覧、役員の解任請求権があります。
⑦議決権の1%以上を保有
株主総会における議案提出権が認められます。
事業承継で所有している株式を移動していく際には、上記の行使できる内容を確認する事も
必要です。もちろん単独での議決権割合だけでなくグループとして合計した場合の議決権割
合も考慮する必要があります。 -
株主名簿をみると名前も知らない人がいます。 なぜこんな事になるのでしょうか?
長く続いている会社ほど株主が分散しているケースがよく見られます。
株主名簿を見てみると会ったこともない人の名前がある事も実務の中ではよくあります。
ではなぜ株式が分散してしまうのか?
会社には株式の移動について「譲渡制限」もあるはずなのに・・。
分散してしまった理由には主に次のケースがあります。
①株主に相続が起きてその時に分散した
株主に相続が起きれば、譲渡制限が付されてる株式であっても、相続人へ株式は
会社の許可なく分散してしまいます。
相続は長期的には必ず発生しますので、株式は放置しておけばどんどん分散して
しまいます。
②相続税の節税のために贈与しすぎた
「なるべく早く株式を贈与したい」という思いから暦年贈与の非課税枠110万円で
おい、めい、孫等々へ幅広く贈与してしまった場合です。
目先の相続税を下げる事にとらわれ過ぎた結果です。
③名義株
昔は株式会社を設立するのに最低7人の発起人が必要だったために設立の際名義を
借りてそのまま放置してしまった結果株が分散している。
株式が分散すると・・
・株式の買取請求を起こされる可能性がある。
・リーダーシップを取りにくい
…といった経営上の問題発生が想定されます。
目先の相続税だけにとらわれて、株が分散すると後継者にトラブルの種を残してしまう事に
なります。
ある程度株を集中させる必要があります。 -
会社の謄本を見ると株式に譲渡制限があるようですがこれはどういう意味ですか。
《譲渡制限が「ある株式」と「ない株式」》
会社の登記簿謄本(全部事項証明書など)を見ると「株式の譲渡制限に関する規定」といっ
た項目があります。
この規定を設けている会社は発行した株について譲渡や贈与する場合には取締役会等の承認
を受けなければならないといった制限を設けている事になります。
つまり自社株が勝手に知らない人に移動する事を防ごうとしているのです。
最近設立された会社のほとんどについては株式譲渡制限が付されています。
ただ古くから続いている会社については定款を改訂する事なく譲渡制限が無いままになって
いる事も見受けられます。
譲渡制限がついていないと会社が知らないうちに株式が分散してしまい、予期せぬ第三者に
渡ることも考えられます。
また旧商法では譲渡制限株式を譲渡したい株主は必ず「書面」で請求する必要がありました。
これが会社法にかわり「書面」でなくても「口頭」でも可能となっていますので注意が必要
です。
《株券の発行と不発行》
株券については発行する、発行しないは法人が選択できます。
会社法施行以降、株券を発行する場合のみ登記する事となりました。
つまり現在では株券を発行しない(株券不発行会社)がほとんどです。
株券を発行する事には、紛失のリスクや株券の印刷代のコストなどのデメリットがあり、現
在ではほとんどの会社が株券は発行していません。
自社の株がいまどういうルールになっているのかを登記簿謄本、定款で確認し必要に合わせ
て改定しておく事をオススメします。 -
毎年110万円の贈与ではペースがあがりません。 2,500万まで非課税な贈与があると聞きました。 どういう制度でしょうか。
「110万円の贈与ではペースが上がらないのでもっと大型の贈与をしたい」
「ただし贈与税はあんまり払いたくない」というリクエストがあります。
このような場合、2,500万円まで贈与税を支払わない「相続税精算課税制度」という制度が
使えるのか?
たしかに贈与時点では2,500万円までの財産は贈与税不要です。
ただし、落とし穴があります。
将来、贈与者が死亡した場合の相続税の申告においては、この制度を利用して贈与した財産
は何年前、何十年前であっても、相続財産に加算して相続税を計算し、相続税が発生すれば
納税する仕組みです。
つまり、将来の相続税に先送りしている制度です。
その他注意点は・・・
・1度選択すると暦年贈与110万円まで非課税の制度は利用できない
・2,500万円を超えた贈与は一律20%の贈与税負担
・贈与時点で支払った贈与税は相続税の際に引いてもらえる
・65歳以上の両親から20歳以上のお子様のみが適用できる
(平成27年以降は60歳以上の両親、祖父母から20歳以上の子、孫へ拡充)
・将来の相続税計算の時には贈与時点での価額をそのまま使用する
この制度はどう利用したらよいのでしょうか。
単純に贈与しても相続税の節税には繋がりません。
ミソは将来の相続税は贈与時点での価額で再計算されるところです。
つまり、将来必ず値上がりする資産の贈与や収益物件の贈与が効果ありです。
自社株も将来必ず値上がりする(??)のであれば・・・
医療法人の出資持分は多くが値上がりするので踏み切りやすいと思います。
また、どうしても相続よりも早い段階で所有権を確保したい資産がある場合にはこの制度で
贈与を受けておくことができます。
一旦贈与税を支払ったとしても、将来の相続税でその分は引いてくれます。
また納め過ぎであれば還付もしてくれます。 -
自社株を贈与したいのですが、どのタイミングがよいですか?
自社株の評価は会社の純資産や利益によって年々変化します。
大きな損失が出た時は自社株の評価が下がり、株式移動の絶好の機会となります。
しかしながら故意に損を出すことは会社経営にとってもちろん良いことではなく、従業員や
取引先の信用を失いかねません。
では会社として損が出やすいのはどのタイミングでしょうか?
タイミングの一つとしては「役員退職金」を支給した時です。
役員退職金は、その金額が過大でない限り、法人として損金の額に算入することが認められ
ています。
役員退職金を支給することで、次のような効果を生むことができます。
①類似業種比準価額方式で用いる利益の金額が大幅に圧縮される
②自社株を純資産価額方式で評価する場合に、純資産額が減少する
③退職金をもらう役員は、退職所得として課税され比較的税負担が少なくすむ。
④会社の利益と相殺されるため、法人税の負担が少なくて済む。
⑤決算書上は「特別損失」と表示され、銀行の評価が下がるリスクも少なくなる。
その他に評価を下げる方法としては、一般的な相続税対策と同様不動産の購入が考えられ
ます。
家賃を支払って事業を行っている場合、思い切って自社ビルを購入する事で土地は路線価、
建物は固定資産税評価額に基づく評価となるため、純資産価額を圧縮することが期待でき
ます。
ただし、法人の購入した不動産については購入から3年間は取得価額で評価しなければいけ
ません。3年間圧縮効果が出るのを待つ必要があります。
もちろん購入資金を調達するために金融機関から借入を行う場合は、その後の返済計画につ
いても慎重に検討する事が必要になります。
自社株の評価額を下げる事だけに力が入って会社本体の体力が失われてしまっては元も子も
ありません。
慎重な判断が必要ですが、評価が下がった時には大胆に株式移動をする決断も重要です。 -
自社株の評価は計算できました。いくらまで贈与すればいいですか?
「相続税対策」とは何でしょうか。
より少ない税負担で後継者に財産を移すことです。
自社株もまず考える方法論は贈与でしょう。
ではいくら贈与すればいいでしょうか?
一般の贈与「暦年贈与」で基礎控除は年間(1月から12月)で110万円です。
110万円までは贈与しても税金はかかりません。
しかし、多くの財産をお持ちの方は「110万円贈与なんて焼け石に水」「多額の贈与なら
贈与税は重すぎる」と考えます。
そこでおすすめしたいのは310万円贈与です。
ここで生前に310万円を贈与するとどうなるか具体的に考えてみましょう。
310万円を贈与したときの贈与税は20万円になります。
贈与財産310万円に対してこの贈与税額20万円の割合は約6%です。
これに対し相続税の最低税率は10%です。
相続税は最低税率10%なので310万円の財産が減少すれば31万円の相続税が減少します一方
で生前贈与なら上記の通り贈与税は20万円です。
後払いなら31万円の相続税、前払いなら20万円の贈与税と考えられます。
相続税は累進税率ですから相続財産が多ければ310万円贈与は110万円贈与に比べて
更に有利になります。
財産がたくさんある方は何も110万にこだわる必要はありません。先に税金を払っておいた
方が得なケースがあります。
生前贈与する事を検討してみてください。
よくある質問と解決策
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