新会計基準への移行について
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1. 新会計基準の適用範囲
現行基準では、社会福祉法人会計基準や指導指針、病院会計準則や企業会計原則等、社会福祉法人が運営する事業区分(社会福祉事業、 公益事業、収益事業)、運営する施設の内容(保育園、病院、特別養護老人ホーム等)に応じて適用される基準がいくつもあるという状態になっています。社会福祉法人の新会計基準においては、全ての社会福祉法人の会計基準を統一することにより簡素化を図っています。
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2. 区分方法の変更
社会福祉法人が会計処理を行うにあたって、その会計をどの単位で行うかという区分について、現行基準では、「会計単位」と「経理区分」、 指導指針では「会計区分」と「セグメント」という2つの区分の方法がありますが、素案においては、「法人全体」・「事業区分」・「拠点区分」・ 「サービス区分」という4つに区分し、統一化を図っております。ここで、「事業区分」とは、社会福祉事業・公益事業・収益事業ごとの区分であり、「拠点区分」とは、一体として運営される施設、事業所又は事務所を指します。また、「サービス区分」とは、同じ施設内で、いくつかのサービスを行っている場合のその個々のサービスの区分を指します。
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3. 財務諸表の構成
既存の「計算書類」という名称は「財務諸表」へと変わり、外部への情報公開や内部での運営分析に、より有用な情報を提供することを目的として変更が行われております。新会計基準においては、現況報告書に添付すべき財務諸表は、資金収支計算書・事業活動計算書・貸借対照表であり、原則として、法人全体・事業区分別・拠点区分別・拠点区分単位で作成することとされております。「事業区分」は現行会計基準の「会計単位」を「拠点区分」は指導指針の「会計区分」を踏襲しており、「法人全体」が新設されました。事業区分別・拠点区分別の財務諸表では、事業区分・拠点区分の間での取引について内部取引を消去して表示することとされました。これにより、事業区分・拠点区分単体での運営状況を把握すると共に、法人全体・事業区分全体での運営状況をより明確にすることが可能になりました。
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4. 各財務諸表の主たる変更点
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(1)資金収支計算書
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A.収支区分
(旧) 経常活動による収支 ⇒ (新) 事業活動による収支
(旧) 財務活動による収支 ⇒ (新) その他の活動による収支
(旧) 施設整備等による収支 ⇒ (新) 施設整備等活動による収支
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B.表示科目の収支区分変更及び名称変更
【繰入金収入・繰入金支出】
(旧) 経常活動による収支 ⇒ (新) その他の活動による収支
→現行では経常活動による収支の区分に繰入金収入・支出が計上されることにより、その事業単独における収支差額が 見えづらくなっていたため、より経営分析がしやすいように区分が変更されました。
【積立預金取崩収入・積立預金取崩支出】
(旧) 財務活動による収支 ⇒ (新) 施設整備等活動による収支
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(2)事業活動計算書
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A.収支区分の名称
(旧) 事業活動収支の部 ⇒ (新) サービス活動増減の部
(旧) 事業活動外収支の部 ⇒ (新) サービス活動外増減の部
(旧) 特別収支の部 ⇒ (新) 特別増減の部
(旧) 繰越活動収支差額の部 ⇒ (新) 繰越活動増減差額の部
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B.表示科目の収支区分変更及び名称変更
【国庫補助金等特別積立金取崩額(サービス活動増減の部又は特別増減の部)】
(旧) 収入として計上 ⇒ (新) 減価償却費又は固定資産売却・処分損の控除項目として計上
【収入・支出】
(旧) ○○収入・○○支出 → (新) ○○収益・○○費用
→現行では収入科目及び支出科目は、資金収支計算書と事業活動収支計算書において同じ勘定科目名を用いておりますが、 新会計基準では例えば、介護保険収入は介護保険収益、就労支援事業支出は就労支援事業費用というように、資金収支 計算書と事業活動計算書で別の勘定科目名を用いることになりました。
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(3)貸借対照表
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A.表示科目の変更
(旧) その他の流動資産 → (新) その他の流動資産・徴収不能引当金
(旧) 次期繰越収支差額 → (新) 次期繰越活動増減差額
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B.減価償却累計額が新設され、固定資産の間接法による表示が追加されました。
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C.勘定科目の追加
【流動資産】
…事業未収金、未収補助金、未収収益、受取手形、医薬品、診療・療養費等材料、給食用材料、前払費用、 1年以内回収予定長期貸付金、繰延税金資産
【固定資産】
…ソフトウェア、退職共済預け金、繰延税金資産
【流動負債】
…事業未払金、施設整備等未払金、その他の未払金、支払手形、役員職員短期借入金、1年以内返済予定 設備資金借入金、1年以内返済予定長期運営資金借入金、1年以内返済予定リース債務、1年以内支払予定 長期未払金、未払費用、職員預り金、前受収益、未払法人税等、繰延税金負債
【固定負債】
…リース債務、長期未払金、繰延税金負債、長期預り金 全体として、前払費用等の経過勘定項目や税効果会計、1年基準による長期短期の区分の導入等、財政状態をより明確に反映できるように変更されております。 なお、新会計基準においては、財産目録は財務諸表から除外され、運用指針の別紙として位置づけられております。
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5. 移行期限
会計システム、経理規定等準備の出来た法人については平成24年度予算から順次移行という形になります。最終的な移行期限は平成25年度予算からです。 なお経過措置はございませんのでご注意ください。
土地購入を検討されている社会福祉法人の方
社会福祉法人が事業の用に供するために、個人や法人から土地を購入した場合、売主・買主共にいくつかの留意事項が発生します。
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1. 不動産取得税、登録免許税
社会福祉法人がもっぱら、社会福祉事業・更生保護事業を行うものがその事業の用に供する不動産などは不動産取得税が非課税となります。 また、社会福祉法人の行う不動産登記のうち特定のものについては登録免許税も非課税となります。
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2. 売主側の所得税(法人税)
売主側では土地の売却により売却益が生じた場合、所得税(売主が法人の場合は法人税)を納めなければなりませんが、それに対する優遇措置があることをご存じですか?
上記の優遇措置を規定する法律は、土地収用法。税務手続きは租税特別措置法に規定されています。
「土地の収用」というと、国や地方公共団体が公共事業のために個人や法人から土地を買い上げることをいいますが、社会福祉法人が個人若しくは法人から土地を購入した場合にも「収用」の認定を受け、売主が譲渡益から5,000万円の控除を受けることができるケースがあります。
「収用」の認定を受ける場合には、あらかじめ税務署や行政と土地の購入前に事前協議を行い、一定の要件を満たさなくてはなりません。事業内容、事業形態が認定を受けられるかどうか、事業計画が適正かなど購入計画の初期段階からの十分な準備が必要となります。
サービス内容新会計基準への移行について土地購入を検討されている社会福祉法人の方
我が国の社会福祉法人は、近年における大きな制度改革の過渡期を経て、定着にむけた努力が行われている最中といえます。 その中で会計制度も大きく変わってきており、複雑な会計制度の改正に適正に対応できていない事例が多く見られます。
弊社では社会福祉法人の会計に精通したスタッフをおき、適正な会計処理、施設運営等ができるよう皆様のお手伝いをしております。
1. 社会福祉法人会計基準に基づく会計指導
会計単位、経理区分の設定や科目体系の設定、月次会計業務の指導をします
弊社では日々の伝票入力、作業月次の総勘定元帳の作成、試算表の作成、月次の貸借対照表・資金収支内訳表・事業活動収支内訳表の作成、期末報告用の各種決済書の作成等、経理処理全般に関する指導、各種ご相談への対応を親切・丁寧に行います。
2. 行政監査等への対応
社会福祉法に基づく行政監査や、収益事業・消費税・源泉所得税に対する税務署の調査に立ち会います。
3. 新会計基準への移行支援、会計ソフトの導入支援
損益計算や減価償却を取り入れた新会計基準への移行処理の支援をします。
4. 会計ソフトの導入支援
5. 消費税・法人税等の税務申告
6. 法人運営に関する相談・アドバイス
経理事務の効率化、当初予算、補正予算に関するアドバイス予算と実績の対比や予算執行率の確認
設備投資や新規事業の運営シミュレーション業務、資金繰りに関するご相談や銀行交渉
給与計算、年末調整、労働保険関係事務、就業規則他各種規定作成、人事コンサルティング
経理・事務に関する人材派遣
月次顧問契約
毎月担当者がお伺いし、以下の相談・助言・指導・作成をいたします。 法人様に、現預金出納帳等及び月次試算表を作成していただくようになります。
(以下は決算時)- ・計算書類
- ・固定資産台帳
- ・財産目録
- ・確定申告書
- ・消費税確定申告書
料金
料金は、1施設のみの場合 月 30,000円~になります。
仕訳数、法人全体の収入額等を考慮しお見積りをさせていただきます。
別途決算料として5ヶ月分が必要になります。
その他試算表作成業務等も別途で相談させていただきます。